これまで長い間陸上競技をしてきて長距離選手からこのような声を聞くことが多くありました。「自分は長距離選手だからスピード練習をする必要はない」果たしてこれは本当なのでしょうか。私は中長距離選手にとってもスピードを磨くメリットは大きいと考えています。今回は、400m~10000mまで幅広い種目に出場してきた私が考える中長距離選手がスピードを磨くメリットと、具体的な練習方法について解説します。自己記録を伸ばすためのヒントが隠れているので是非最後までご覧ください!
僕は長距離選手だからスピード練習は必要ないと思っていたんだけど、
中長距離選手でもスピードを磨くことにメリットがあるって本当??
長距離選手だとしても、スピード練習を甘く見ていたらダメ!
スピードを磨くことで自己記録更新にグンッと近づくこともあるんだ!
今日はそのメリットと練習方法を解説するよ!
中長距離選手がスピードを磨くメリット
まず初めに中長距離選手がスピードを磨くメリットについて紹介します。中距離選手がスピード練習をすることについてはイメージがつく方も多いかと思いますが、長距離選手となると疑問を抱く方もいるかと思います。ここでメリットを知り、「自分にも必要だ!」と感じた方はぜひこの後紹介する練習を取り入れてみてください!
メリット①:ラストスパートに強くなる
中距離・長距離種目において、ゴール手前200m~100mの間でレースの勝敗が決まることは少なくありません。場合によってはその差で県大会や地方大会の出場権を逃すことも考えられます。もしレースがスローペースになり、ゴール直前まで全員余裕があった時に勝つ選手は誰でしょうか。答えは最も短距離を早く走れる人(ここでは絶対速度が速い人と表現します。)です。このようなレースの場合、自己ベストが遥かに自分よりも早い選手に対しても勝つことができる可能性があるのです。たとえスローペースのレースでなかったとしても、同じくらいの実力の選手が走った場合、勝つ可能性が高いのは絶対速度が速い選手だと私は考えています。このように、ゴールの順位が重要となる大会では、ラストスパートに強くなることでレースに勝てる可能性が高くなります。これが中長距離選手がスピードを磨くメリットの一つ目です。
メリット②:レースペースに対しての余裕度が変わる
次に紹介するスピードを磨くメリットはレースペースの余裕度に関するものです。これは単純な話で、100mを12秒で走る選手と14秒で走る選手では、3’00/kmのペースはどちらの方が楽に走れるでしょうか。もちろん前者です。これよりも遅いペースだったとしても、レースペースに対して余裕を持って走ることができるメリットはかなり大きいです。レースペースに余裕がないと常に全力疾走をしているような感覚になってしまいます。生粋の長距離選手であればそれでも最後まで走り続けることができるのかもしれませんがそれにも限度はありますし、むしろこのような選手ほどスピードを磨くことで自己記録を大きく伸ばすことができるかもしれません。
少し話が逸れましたが、とにかくここで私が言いたいことはレースペースに対して余裕を持てるようになることで、レースでの苦しさを減少させることができるということです。常に全速力のような感覚では体力的にも気持ち的にもかなりしんどくなってしまいます。この苦しさを減少させることができれば、自己記録更新にも大きく近づくことができると私が考えています。
中長距離選手がスピードを磨くための練習方法
ここまで中長距離選手がスピードを磨くメリットについて解説してきました。では具体的にどのように練習をすれば良いのでしょうか。何も短距離選手のようにスターティングブロックを使った練習やウェイトトレーニングをメインとした練習をする必要はありません。あくまでメインで行う練習は中長距離の練習なので、これらに少しスピードを磨くための練習を加えれば十分です。私が高校時代、中長距離パートのパートリーダーとして練習メニューを立てていた頃は、この練習方法によってパート内の男子部員8名のうち5名の100mの自己記録を12秒台にまで底上げすることに成功しました。特に長距離選手であれば100mを13秒を切って走る絶対速度があれば十分戦うことができます。中長距離選手はこれまで短距離の練習をあまりしてきていない分、伸びしろも大きいので是非試してみてください!
練習方法①:高速度帯で走る習慣をつける
一つ目の練習方法は「高速度帯で走る習慣をつける」です。例えば練習終わりの流し。ここでのペースを少し早くするだけでも、練習後に毎回行うことで高速度帯で走る習慣がついてきます。私は流しと言いつつほぼ全速力で100m~200mを走ることも多いです。ただし冬場は要注意。高速度帯で走ることで肉離れなどの怪我につながる可能性があります。そのため、冬場は練習後に7~8割程度の力感で200mの流しを定期的に取り入れています。ペースとしては800m~1500mのペースに当たる30秒前後。冬場に200mの流しを取り入れる目的はあくまで「スピードを出して走る感覚を鈍らせないこと」。高速度帯で走る練習は春から秋にかけて行うようにしましょう。
練習方法②:短距離の練習に混ぜてもらう
ここで言う短距離の練習とは、先述した通りスターティングブロックを使った練習やウェイトトレーニングをメインとした練習ではなくランメニューです。400mなどの短長パートの選手と一緒に練習をするのも一つの策だと思います。私はスピードを磨くことができた最も大きな要因は短距離との練習だと思っています。私の高校では、ほぼ毎回の練習で短距離パートが練習の最後にリレーを取り入れており、そのリレーに混ぜてもらう形で短距離の練習に参加していました。練習の最後なので、中長距離の練習には直接影響しませんし、何よりリレー形式になるので自然としっかりとスピードを出して走ることができていました。非常に盛り上がる練習なので学生の方は部内で取り入れてみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
今回は中長距離選手がスピードを磨くメリットと、具体的な練習方法について紹介しました。
- 中長距離選手がスピードを磨くことによるメリットは「ラストスパートに強くなる」「レースペースに余裕ができることで苦しさが減少する」の二つ。
- 具体的な練習方法は「練習後の流しなどで高速度帯で走る習慣をつける」「短距離の練習に混ぜてもらう」の二つ。
私は中長距離選手が上手く短距離を走れないのはスピードを出す感覚に慣れていないことが大きいと考えています。少しずつでもスピードを出して走る感覚に慣れていき、スピードを磨くことによるメリットを享受しましょう!
また、ある程度スピードがついてきたと感じたら気分転換の意味でも100mや200mのレースに出てみるのも良いかもしれません。私も何度か出場したことがありますが、中長距離のレースとは異なる雰囲気で非常に楽しいですよ!
長距離選手でもスピードを磨くことにメリットがあるということが分かったよ!
さっそく今日の練習から早いペースでの流しを取り入れてみようかな!
絶対速度は突然伸びるものではないよ!
中長距離の練習と並行して徐々にスピードに慣れていこう!
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