「レース前の調整って何をすれば分からない!!」陸上競技を始めたばかりの時にはそう感じる方も多いかと思います。そこでこの記事では、『レース前の食事』・『生活習慣』・『具体的な調整方法』について2週間前まで遡って紹介します。ぜひ最後まで読んで試してみてください!
いよいよ明日はレース本番!これだけ追い込めば記録も出るはず!
レース前日にそんなに追い込んだの!?
レースにはしっかり調整して臨まないとピークを合わせられないよ!!
えぇ!そうだったの!?
たしかに、いつも前日までは調子がいいのにレース当日になるとなぜか体が動かなくなるんだよなぁ…
追い込みすぎて疲労が溜まってしまっているね…
じゃあ今日は、レース2週間前からの調整方法について紹介するね!
調整方法に正解はない!
冒頭で「調整方法を解説する」と述べましたが、実は調整方法に正解はありません。この記事では私の調整方法を紹介しますが、実際のところ調整方法が合うか合わないかは人によって異なります。そのため、この記事では『初めてレース前の調整を実践してみる人』や『今の調整方法が合っていない人』におススメできる内容を紹介しています。しかし、『自分なりの調整方法を作ってみたい!』という方にも参考になる内容が含まれていますので、この記事を読んで実践できるものは実践してみてください。
【実践1】食事編
ここからは実践編。まずは食事について紹介します。食事についてはレースに支障が出ないものを食べることが鉄則です。「レース2週間前~当日」「レース前日」「レース当日」の3つに分けて紹介します。
【レース2週間前~当日】生ものは避けよう
この期間は長めにとっていいかと思います。せっかくレースにエントリーして練習を積んでいても、食べ物に当たってしまって当日に本調子を出せなければ元も子もないですよね。そのためレース2週間前くらいからは「生もの」や「生焼けのもの」は避けた方がよいでしょう。「少しくらいは大丈夫だろう」と思っていても念には念を。この期間だけは我慢して、レース後たらふく食べましょう!
また、夏場の暑い時期には日頃からこまめに水分補給をすることも意識しておきましょう。これだけでも脱水症状のリスクを抑えることができます。
【レース前日】なるべく消化が良いものを!
レース前日は消化が良いものを食べるのがベターです。おススメはうどんや蕎麦など。レース当日に胃もたれなどを起こさないように注意しましょう。試合に「カツ」ためのゲン担ぎにトンカツなどの揚げ物を食べることはおススメしません。
【レース当日】食事はレースの3時間前までに!
人間は食べ物を食べてから消化するまでに2~3時間かかると言われています。そのため、当日の食事はレースの3時間前までには済ませるようにしましょう。それ以降にお腹が減った場合におススメする食事としてはバナナやinゼリーなどのゼリー飲料。これらは消化が早いので、レース前のエネルギー補給に適しています。また、当日は必ず朝ごはんを食べるようにしましょう。朝ごはんを食べないとエネルギーが出ません。レース時間が遅いときでも意識的に食べるようにしてください。
【実践2】生活習慣編
ここからは生活習慣編です。これも万全な状態でレースに臨むための重要な要素です。陸上競技の特徴として挙げられるものの一つが「朝の早さ」。部活動で陸上競技をしている方であれば、場所取りのために朝早くから競技場へ向かうこともあるかと思います。そのためレースに向けて『早寝早起き』の習慣をつけるようにしましょう。
【レース2週間前~当日】早寝早起きの習慣をつけよう
毎日8時まで寝ている人がレース当日6時に起きてレースを迎えても万全な状態であるはずがありません。時間をかけて早起きに慣れていきましょう。早く起きれば眠たくなる時間も早くなり、自然と早寝早起きを実践できるはずです。またレースの時間がどれだけ早くても、当日はレースの3時間前までには起きておきましょう。人間は目が覚めてから体が完全に起きるまでには3時間程度かかると言われています。特にレースの時間が早い場合には、早寝早起きの習慣をつけて万全の状態でレースに臨める状態にしておくことが大切です。
【実践3】練習編
最後は具体的な練習内容についてです。今回は私の専門種目である800m、サブ種目で出場経験も多い1500m、5000mの3種目の調整方法をそれぞれ紹介します。
どの種目にも共通して言えること
具体的な練習内容に入る前に、今回紹介する3種目に限らず、どの種目にも共通して言える重要な点を覚えておいてください。
①ルーティン化
どの種目にも共通して言える重要なポイントの一つ目は「調整内容をルーティン化すること」です。つまりレース前の練習は同じものを行うようにしましょう。その理由としては「現状把握」が挙げられます。レースを迎えるに当たって、現状を把握しておくことは非常に重要です。調整段階で調子が良いことが分かれば、最初からガンガン飛ばすレースプランを立てることもできます。逆に調整段階で調子が悪いのであれば、あえてスローペースのレースをつくることで自分に有利な状況を立てられます。このようにレース前に自分の状態を把握することができていれば、その時の調子に合わせたレースプランを事前に練ることができるのです。そして、その現状把握を行うための手段が調整内容のルーティン化。いつも同じメニューを行うことで、普段のタイムや疲労度と比較して現状を把握します。
②調整の鉄則は量を落として質を上げる!
今回紹介する内容を自分なりにアレンジする場合でもこのことは肝に銘じておいてください。「調整の鉄則は量を落として質を上げる。」この大きな理由はレース時に疲れを残さないためです。レース前は練習の強度を上げすぎず、疲労が残らない程度に留めておきます。その強度をコントロールするために練習量を調整します。具体的にどんな練習をすればいいのかについてはこのあと種目ごとに詳しく紹介します。
具体的な調整方法~800m~
800mレース前の調整例
まずは800mのレースの前に実際に行った調整を紹介します。今回は、仮にレースが10/15日にあると想定します。
日付 | レースまでの日数 | 練習メニュー |
---|---|---|
10/1 | 14日(2週間前) | 400×10(r=200jog) |
10/2 | 13日 | オフ |
10/3 | 12日 | 6000b-up |
10/4 | 11日 | 30’jog |
10/5 | 10日 | 8000PR |
10/6 | 9日 | オフ |
10/7 | 8日 | 60’jog |
10/8 | 7日(1週間前) | (600+200)×3(r=200walk, R=10′) |
10/9 | 6日 | オフ |
10/10 | 5日 | 300×4(r=200walk) |
10/11 | 4日 | 30’jog |
10/12 | 3日 | 600m×1(刺激) |
10/13 | 2日 | オフ |
10/14 | 1日 | 300m×1(刺激) |
10/15 | 当日 | 800m |
b-up…ビルドアップ走の略。走りながら徐々にペースを上げていく練習です。
PR…ペースランニングの略。一定のペースで走り続けます。
r, R…rはセット内でのレスト、Rはセット間のレストです。(600+200)×3のメニューで言うと、600と200の間のレストが200walk、600+200を1セット走った後に取るレストが10分です。
【レース2週間前から1週間前】
私の場合、この期間の練習は少しキツめのものを行っています。PRをするにしてもポイント練習を行うにしても普段よりペースを上げるなど、練習で追い込むようにしています。もちろんオフの日や疲労抜きのjogの日など、積極的に休養は取り入れています。レース1週間前のポイント練習を最後に、徐々に強度を下げていくのが私の調整の仕方です。この根幹には『超回復』という理論があるのですが、説明を始めるとかなり長くなるので今回は省略します。(また詳しく記事を書くかも)
【レース6日前から4日前】
6日前からの調整は基本的には毎回同じでルーティン化しています。(仕事の関係でどうしても時間を取れない日は同じメニューの範囲内でずらすこともありますが。)6日前は前日の疲労を取るためにオフ。5日前の練習から本格的にルーティン化したメニューに入ります。300×4ですが、このメニューは800mのレースペースよりも少し早いペースで行います。参考までに800mのベスト記録が1’52″台の私の場合、40″~41″を目安にペースの設定をしています。4日前は疲労抜きのjogです。
【レース3日前から当日】
こちらも毎回同じメニューを実施しています。600mはレースペースくらい。300mは8割くらいの力感で行っています。ここで行うメニューは筋肉に刺激を入れてあげるため。しっかり刺激を入れないと当日足が鈍って上手く動いてくれないことがあります。天候や仕事の都合次第では、3日前にオフ、2日前に600m、1日前にjogを行うパターンもあります。ご自身の予定を考慮しながら臨機応変に試してみてください。当日はjog、動きづくりのドリル、流しを数本入れてレースに臨みます。
具体的な調整方法~1500m~
1500mレース前の調整例
こちらもレースの前に実際に行った調整を紹介します。800mと同じく10/15日にレースがあると想定しています。
日付 | レースまでの日数 | 練習メニュー |
---|---|---|
10/1 | 14日(2週間前) | 6000PR |
10/2 | 13日 | 300×7(r=200walk) |
10/3 | 12日 | オフ |
10/4 | 11日 | 8000PR |
10/5 | 10日 | 30’jog |
10/6 | 9日 | オフ |
10/7 | 8日 | 60’jog |
10/8 | 7日(1週間前) | 400×8(r=200walk) |
10/9 | 6日 | オフ |
10/10 | 5日 | 6000b-up |
10/11 | 4日 | 30’jog |
10/12 | 3日 | 1000m×1 |
10/13 | 2日 | オフ |
10/14 | 1日 | 300m×1(刺激) |
10/15 | 当日 | 1500m |
【レース2週間前から1週間前】
800mと同じく、この期間の練習は通常よりはキツめです。PRだけでなく、jogのペースも早くしています。こちらも1週間前のポイント練習から強度を落としていっています。ちなみに300×7、400×8ともにペースは1500mのレースペースです。
【レース6日前から4日前】
1500mとこの後紹介する5000mの場合は、この期間の練習はレースごとで変えており、ルーティン化はしていません。しかし、根本にある「疲労をためすぎない程度に走る」というものは毎回変えておりません。
【レース3日前から当日】
ここからは基本的には毎回同じメニューです。1000m、300mともに筋肉に刺激を入れるためのメニューで、どちらもペースはレースペースよりも少し早いくらいです。こちらも都合次第では2日前に1000m、1日前にjogを行うことがあります。当日は800mと同じく、jog、動きづくりのドリル、流しを数本をいれてからレースに臨む流れです。
具体的な調整方法~5000m~
5000mレース前の調整例
最後は5000mです。こちらもまずはレース前に実際に行ったものを紹介します。
日付 | レースまでの日数 | 練習メニュー |
---|---|---|
10/1 | 14日(2週間前) | 400×15(r=200jog) |
10/2 | 13日 | 60’jog |
10/3 | 12日 | オフ |
10/4 | 11日 | 8000b-up |
10/5 | 10日 | 30’jog |
10/6 | 9日 | オフ |
10/7 | 8日 | 10000PR |
10/8 | 7日(1週間前) | 400×10(r=400jog) |
10/9 | 6日 | オフ |
10/10 | 5日 | 8000PR |
10/11 | 4日 | 60’jog |
10/12 | 3日 | 2000m×1(刺激) |
10/13 | 2日 | オフ |
10/14 | 1日 | 300m×1(刺激) |
10/15 | 当日 | 5000m |
【レース2週間前から1週間前】
800m、1500mと同じく、この期間の練習はキツ目に設定。1週間前のポイント練習から強度を落としていっています。また、レースが5000mということで、走行距離も長めになっています。400×15のペースは5000mのレースペース+5秒くらい、400×10は1500mのレースペース+2~3秒くらいです。
【レース6日前から4日前】
1500mの紹介で述べた通り、この期間の練習はレースごとで変えています。根本の「疲労をためすぎない程度に走る」は変えずにPRやjogのペースを落としています。
【レース3日前から当日】
こちらも3日前からは基本的に毎回同じメニューです。2000mは5000mのレースペースよりも少し早いくらいのペース、300mは8割くらいの力感です。5000mの場合も先に述べた種目と同じく、予定次第では5000mを2日前に持ってくるなどして調整しています。当日は変わらずjog、動きづくりのドリル、流しを数本をいれてからレースに臨みます。
まとめ
今回はレース前の調整方法について3つのパートに分けて紹介しました。
- 調整方法に正解はない!自分なりにアレンジしてみよう。
- 練習メニューだけ考えるのではなく、日ごろからの食習慣/生活習慣も意識して行動しよう。
- 調整時のメニューはルーティン化して現状を把握できるようにしておこう。
以上の3点を踏まえて、万全の状態でレースに臨めるようしっかり調整しましょう!
レース前の調整を意識して、次のレースでは自己ベスト更新するぞ!
すぐには自分に合った調整方法は見つけられないかもしれないけど、試行錯誤を繰り返して最適の方法を見つけてみよう!それが自己ベスト更新につながるぞ!
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